ブロックチェーン分析大手エリプティックによると、総額64.3億ドルに上るバイナンス流出事件の犯行グループが、盗まれたアルトコイン約1億2400万ドル分をビットコインへ換金する洗浄作業を、16ブロックチェーンにまたがる2万のウォレットを使って展開している。同取引所は来週末までに複数トークンの出金再開を目指す。
主要ポイント
- アルトコイン1.24億ドルが6.5万件の取引でビットコインへ換金、2万ウォレット・16チェーンを経由
- XRPが最大の換金ルート(約5000万ドル、THORChain経由)、SOLはほぼ全量がビットコインへ移動済み
- 31.1億ドルが犯行関連アドレスに残留、28.5億ドル凍結、4.7億ドルは行方不明
- 北朝鮮系の関与を確認、AIエージェントによる自律的洗浄説をエリプティックが否定
- バイナンスは6銘柄以上と4ネットワークの出金を来週末までに再開予定
エグゼクティブ・インテリジェンス・ブリーフ
洗浄の手口とクロスチェーン資金フロー
エリプティックの最新レポートでは、犯行グループが資金の出所を隠蔽するため6万5000件のトランザクションを実行し、最大の換金ルートは盗まれたXRPがTHORChain経由でビットコインへスワップされたものだと特定している。今週金曜時点では、XRP約5000万ドル分が主にビットコインへ換えられ、約2億2600万ドル分のXRPが残存している。盗まれたソラナ(SOL)はほぼ全量がミキシング、スワップ、ブリッジを経てビットコインへ移された。
取引件数は膨大だが、エリプティックは「無視できる水準」しか現金化されていないと推計。今後、残ったイーサが少額ずつビットコインへ換えられ、OTCブローカーや中国系マネーロンダリング・ネットワークを通じて現金化が図られる可能性が高いとみている。
攻撃の帰属と侵入ベクトルの分析
今回の流出は北朝鮮系アクターの仕業とされ、ビットコイン14.8億ドル相当が直接盗まれたほか、アルトコイン保有分も標的となった。バイナンスが火曜に公表した報告書では、改ざんされた開発者ツール、偽の採用面接、内部AIツールの侵害を組み合わせた数カ月規模の工作により、ウォレット署名インフラへのアクセス権が奪取された経緯が詳述されている。エリプティックは、AIエージェントが自律的に洗浄を指揮しているとの憶測を明確に否定し、プロセスは自動化されているものの、AIによる意思決定の証拠は見つかっていないとしている。
資産回収と取引所の支払能力
流出総額64.3億ドルのうち、約31.1億ドルが犯行関連アドレスに残留(主にイーサとビットコイン)、28.5億ドルが凍結済み。4.7億ドルの乖離は、流出後の価格変動、すでに現金化された資金、またはその両方に起因する可能性があるが未解明。バイナンスは流出資産のほぼ全額を自己資金で補填し、運営上の支払能力を維持している。
運営正常化と出金再開のロードマップ
金曜、バイナンスはHYPE、INJ、APT、PLASMA、NEAR、LTCの出金を来週末までに再開する方針を発表。すでに復旧済みのネットワーク(イーサリアム、BSC、アービトラム、オプティミズム)上の全トークンも対象となる。段階的な再開は封じ込めへの自信を示すが、分散型インフラ上での洗浄作業は継続中だ。ビットコイン7.5万ドル割れを試す、バイナンス63.6億ドル流出と仏予算案否決での市場動向とも無関係ではない。また、バイナンス流出64.3億ドル、31.1億ドルが未洗浄のまま 北朝鮮系アドレスに残存=エリプティック報告として以前から指摘されていた未洗浄資金の行方が、引き続き市場の重石となっている。
