米証券取引委員会(SEC)は29日、コロラド州法人のBGウェルス・シェアリングとDSJエクスチェンジの2社を、偽のSEC提出書類を利用して規制当局の承認を得ているかのように装い、40州以上で数万人の個人投資家から約1億3000万ドル(約195億円)を集めた詐欺の疑いで提訴した。
主要ポイント
- SECがBGウェルス・シェアリングとDSJエクスチェンジを提訴。偽の「ウェルス・シェアリング」暗号資産プログラムで40州以上の個人投資家から1億3000万ドルを詐取した疑い。
- 被告らは虚偽のフォームADVとフォームDをSECデータベースに提出し、これら公開書類を「規制当局の承認の証拠」として投資家に提示。この手口はSEC投資家アラートでも警告対象に。
- スキームは2025年10月〜2026年6月に運営。SNS、暗号化アプリ、ビデオ会議、専用アプリなど多チャネルで展開し、ポンジ・スキーム的な配当で信頼を維持。
- 適用法令は1933年/1934年法の反詐欺条項、投資顧問法第204条(a)/第207条。SECは差し止め命令、不当利得返還、民事制裁金を請求。
- アルバータ、テキサス、ユタ、ワシントン、ウィスコンシン、ハワイの複数当局が捜査協力。虚偽提出書類はSEC.govから削除済み。
エグゼクティブ・インテリジェンス・ブリーフ
スキームの手口と虚偽提出書類
カリフォルニア北部連邦地裁に提出された訴状によると、被告らは少なくとも2025年10月から2026年6月にかけて活動していた。いわゆる「ウェルス・シェアリング・プログラム」を謳い、「SI生成シグナル」による暗号資産取引で驚異的な無リスク収益が得られると宣伝。BGウェルスは「世界最大のヘッジファンド」を自称し、SEC登録の投資顧問業者であり、DSJエクスチェンジがライセンスを持つ安全な暗号資産取引プラットフォームと提携していると虚偽の説明を行った。
これらの嘘を裏付けるため、被告らはBGウェルスについて虚偽のフォームADV、DSJエクスチェンジについて虚偽のフォームDをSECに提出。これらの書類はSECのデータベースで公開され、見込み客に対して「SECがライセンスまたは承認を与えた証拠」として積極的に示された。SECはその後、両書類をウェブサイトから削除している。
多チャネル展開とポンジ・スキーム的要素
本件では、ソーシャルメディア、暗号化メッセージング、週次ライブビデオ会議、専用モバイルアプリなど、広範なコミュニケーション基盤を駆使して投資家の関心を維持していた。SEC執行部サイバー・新興技術ユニット長のローラ・ダレアード氏は「入念に計画されたスキームだ」と指摘。被告らがSECの印章を偽造した証明書を提示し、一部投資家への定期的な配当(ポンジ・スキーム的手法)を行いながら、大半の資金を着服していたと説明している。
規制違反の適用と多管轄区域の連携
訴状では、両法人に1933年証券法および1934年証券取引法の反詐欺条項違反を適用。BGウェルスにはさらに1940年投資顧問法第204条(a)および第207条違反も追加された。SECは両被告に対する恒久的差し止め命令、事前判決利息付きの不当利得返還、民事制裁金、およびBGウェルスに対する行為ベースの差し止め命令を求めている。
捜査にはアルバータ州証券委員会、ハワイ州商務消費者局、テキサス州証券委員会、ユタ州証券局、ワシントン州金融機関局、ウィスコンシン州金融機関局など、複数の管轄区域の当局が協力した。
投資家保護への示唆と今後の焦点
今回の件は、詐欺師がSEC自らの情報開示インフラ(特に免除報告投資顧問の届出)を武器化し、正当性のベニヤ板を作り上げるという重大な脆弱性を浮き彫りにした。これを受け、SEC投資家教育支援局は、詐欺師がこれらの届出を悪用して投資家を誘引しているとの警告を発出。投資家に対し、勧誘者が提供する書類を鵜呑みにせず、Investor.govで登録状況を独自に確認するよう呼びかけている。
訴訟はカリフォルニア北部連邦地裁で係属中。今後の注目点は、資産凍結や管財人選任の申し立て、被告側の答弁、司法省(DOJ)への刑事告発の有無などだ。SEC、クロスボーダーおよびグループ内レポ取引を米国債清算義務から除外、SECと金融庁、秋季規制対話で国際連携深化 東京で開催。
