世界の株式市場は6日、米中間選挙で民主党が予想以上の議席を確保したことを受け、AIインフラとデータセンター投資への規制逆風を織り込んだ売りが殺到し、米国株で約3兆2000億ドルの時価総額が消滅した。ナスダック総合指数は5.5%急落、日経平均株価は2025年4月以来の大幅安となった。
主要ポイント
- 民主党の中間選挙善戦でAI規制懸念が噴出、米国株から約3兆2000億ドルが流出
- ナスダック5.5%安、日経平均6%安(2025年4月以来の大幅安)、KOSPI6.7%安、TAIEX4.5%安
- メモリー半導体セクターが壊滅的打撃:サンディスク22%安、マイクロン17%安、AMD17%安、エヌビディア9%安
- CMCマーケッツがアジア時間に大量の追証と強制決済を報告
- マグニフィセント・セブンの業績失望が政治的触媒に先行、次の焦点は米雇用統計(日本時間深夜1時30分)
エグゼクティブ・インテリジェンス・ブリーフ
中間選挙結果がAIトレードの構造的再評価を誘発
火曜日の中間選挙で民主党が予想外の善戦を見せたことが、過去6年間にわたり株式市場を支配してきたAI投資テーマの激しい巻き戻しを引き起こした。アナリストは政策の不透明感を指摘する。民主党はデータセンターに批判的で、同セクターのエネルギー・水消費への世論の反発もあり、AI投資の展開が減速する可能性がある。
CMCマーケッツのアジア・中東責任者クリストファー・フォーブス氏はロイターに対し、「単なるバリュエーションの是正ではない。政策そのものと、過去6年間の構造的変化が『今後は一時停止し、AIを冷やし、データセンターの認可とエクイティ資本市場を冷やす』と言っているに等しい」と語り、「ちょっとした災難だ」と現状を表現した。アジア時間には証拠金不足による追証と強制決済が相次ぎ、フォーブス氏はポジションが「全面的に手仕舞われた」と指摘した。
メモリー半導体が主導する壊滅的売り
売りはAIブームを支えてきた半導体サプライチェーンに無慈悲に集中した。サンディスクが22%暴落、マイクロン・テクノロジーとAMDがともに17%下落。AIインフラ需要の指標とされるエヌビディアは9%下落し、ダウ工業株30種平均の下落銘柄トップとなった。ナスダックの5.5%安は同指数を調整局面(高値から10%以上下落)の深みに突き落とし、S&P500種指数は4.36%安、ダウ平均は1833ドル安(3.44%安)となった。
キャピタル・ドットコムのシニア市場アナリスト、カイル・ロダ氏は「残酷な売り」と表現し、AI建設投資の将来への懸念が市場を支配したと述べた。水曜日のニューヨーク市場の大暴落を受け、アジア市場でも下げが再開。日経平均は約6%急落し、2025年4月7日の「解放の日」関税パニック以来の最悪の一日となった。韓国総合株価指数(KOSPI)は6.7%安、台湾加権指数(TAIEX)は4.5%安となった。ナスダック5%急落で調整局面入り、中間選挙でAIデータセンター規制懸念が噴出
政治的触媒の前に業績失望が存在した
規制・政治リスクが顕在化したのは、AIトレードの足元がすでに脆弱化していた時期と重なる。決算シーズンは総じて失望的で、マグニフィセント・セブン(巨大テック7社)の決算は成長期待を下回り、AI支出のペース減速を示唆する警告サインが点灯していた。ブルーベイ・アセット・マネジメントはAI減速が資本集約度を下げるためハイパースケーラーにとってプラスになり得ると指摘する一方、ジェフリーズは民主党がAI成長エンジンを完全に放棄することはないとの見方を示している。
イーロン・マスク氏の個人資産は中間選挙以降で1130億ドル減少し、今回の売りがメガキャップ・テック銘柄に極めて集中していたことを裏付けた。ロンドン市場ではFTSE100種指数が1.5%安で寄り付き、3月以来の大幅安となる公算が大きい。
先行き:雇用統計と立法アジェンダに注目集中
投資家は今、二つの重要イベントを控える。日本時間深夜1時30分発表の米雇用統計は労働市場の健全性を示す最新指標となり、FRB政策運営への示唆が大きい。同時に、民主党が議会で過半数を占めることになった場合の立法優先事項、特にデータセンターの許認可、エネルギー規制、AI既存大手への独禁法執行について、具体的なシグナルを探る動きが強まる。
恐怖指数(VIX)は一時急騰したが、午前中には低下し、一定の安定化を示唆した。しかし、ロイターによるとヘッジファンドでは利益が吹き飛び、レイオフ(一時解雇)も報じられており、デレバレッジ(レバレッジ解消)のサイクルはまだ続く可能性がある。主要指数の多くが年初来ベースではプラス圏を維持しており、更なるパニック売りへの緩衝材にはなっている。米テック株が反発、中間選挙でAI売り一服 ナスダック0.83%高。
