アンソロピックの新規株式公開(IPO)に参加を予定する大手投資家3社がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、同社が目標とする1.5兆ドルの評価額が1兆ドル近くまで引き下げられる可能性が高いと語った。ナスダック100指数が6.3%急落し、2025年4月以来の大幅安を記録したことを受けたものだ。同社は先月、ティッカー「ANT」でナスダック上場を申請し、感謝祭前週の上場を目指し、最大1000億ドルの資金調達を計画していた。
主要ポイント
- 大手投資家3社がWSJに対し、アンソロピックの1.5兆ドル評価額がナスダック100指数の6.3%下落を受け1兆ドル近くまで縮小する見通しだと伝えた。
- ティッカー「ANT」で上場申請済み、感謝祭前週に最大1000億ドル調達を目指していたが、調達額は約800億ドルに縮小の可能性。
- 10月末時点の年率換算収益ランレートは800億ドル超、9月30日時点の現金残高は1466億ドル。
- 民主党の中間選挙躍進で規制懸念が浮上:データセンター建設モラトリアム、AI賠償責任法案、電気料金高騰対策などが提案されている。
- ポリマーケットで年内上場確率71%、カルシで12月1日までの正式発表確率は59%に低下。
エグゼクティブ・インテリジェンス・ブリーフ
評価額の修正と投資家の要求
ある投資家は評価額が1兆ドル近くになると示唆し、別の投資家は調達額が約800億ドルに縮小する可能性に言及した。第3の投資家は、市場環境の改善まで上場延期の可能性を指摘した。WSJによると、幹部とアドバイザーが今後数日中に計画を協議する見通しだ。
こうした懸念は、木曜日のAI関連株の急落を背景にしている。投資家は中間選挙で民主党が躍進した場合、データセンター建設への規制強化の可能性を織り込んだ。S&P500種指数は4.4%安、ナスダック100指数は6.3%安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は12.3%急落、エヌビディアは9.2%下落した。金曜午前には持ち直し、ナスダック総合指数が1.4%高、エヌビディアが3.4%高(米東部時間午前11時21分時点)で推移している。関連してテック株1兆ドル消失、民主党中間選挙圧勝でAI規制懸念が急浮上。
規制リスクと政治的不透明感
ロイター通信によると、民主党はデータセンターに伴う電気料金上昇から消費者を守る法案、先進AIシステムの独立したテスト義務化、AI企業の賠償責任を明確化する法案を検討している。バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)は「全国的なデータセンター建設モラトリアム」を要求。テキサス州知事当選者のジーナ・ヒノホサ氏は、全米の計画データセンター容量の4分の1以上を抱える同州での承認凍結を公約している。
トランプ大統領在任中はこれらの法案成立の見通しは厳しいが、政治的シグナルがAIインフラ評価に新たな不確実性をもたらしている。テクノロジーアナリストのリチャード・ウィンザー氏はテレグラフ紙に対し、アンソロピックのIPO延期リスクが「高まっている」と語った。
ファンダメンタルズと市場タイミング
一部投資家は、評価額引き下げを判断する前に10月決算の確認を求めている。WSJによると、同社の年率換算収益ランレートは10月末時点で800億ドルを超え、9月30日時点の現金残高は1466億ドルに達する。今回議論されている評価額は、9月に流出した草案で示されていた約2兆ドルからすでに大幅に下方修正されている。
予測市場、上場時期の見通しを後ろ倒し
トレーダーは上場時期の予想を後退させている。ポリマーケットでは、11月20日までの上場確率が金曜時点で43%、年内上場は71%。カルシでは、12月1日までの正式発表確率が15ポイント低下し59%、来年1月1日までが68%。ディクリプト・プレディクトでも2027年前の上場確率は71%とされている。
今後の見通しと重要な決断
今後数日中の幹部会議で、評価額引き下げでの上場、調達額縮小、あるいは延期のいずれかが決まる見通しだ。ナスダック100指数と半導体株指数の動向、データセンター規制をめぐる具体的な立法の動きが、史上最大級となるテクノロジー銘柄の上場の行方を左右する。
