米証券取引委員会(SEC)は、ウェスタン・アセット・マネジメントの元共同最高投資責任者(CIO)スティーブン・ケネス・リーク2世氏に対し、合意による最終判決を裁判所に申立てた。数年にわたるチェリー・ピッキング(不当配分)スキームにより、数億ドル規模の初日利益を特定ポートフォリオに、同額の損失を他のポートフォリオに配分したとして、300万ドルの民事罰と役員・取締役資格の永久停止を求めている。
主要ポイント
- SECが元ウェスタン・アセット共同CIOのケン・リーク氏に最終判決申立て:300万ドル罰金、役員・取締役資格停止、永久差止命令。
- リーク氏は申し立てを認めず合意。スキームは2021年1月~2023年10月、取引配分遅延により数億ドルの初日損益を不当配分。
- ウェスタン・アセットは2026年6月に1億ドル罰金と公正基金設立で和解。総額1億300万ドルの救済措置。
- リーク氏は2026年6月、ニューヨーク南地区連邦地裁で司法妨害罪を認める。量刑は今後数週間。
- 今後のマイルストーン:リーク氏判決の裁判所承認、公正基金の分配スケジュール、リーク氏の刑事量刑。
エグゼクティブ・インテリジェンス・ブリーフ
スキームの手口と規制当局の訴追
SECの2024年11月の訴状によると、少なくとも2021年1月から2023年10月にかけて、リーク氏は取引を発注し、その配分を先物市場の日次決済価格が確定する直前または直後にまで遅らせることを常態化させていた。この遅延により、価格変動を確認した上で、数億ドルに上る実現・未実現の初日利益を「お気に入り」のポートフォリオに、同額の初日損失を「非お気に入り」のポートフォリオに不均衡に配分していた。この行為が、同氏に対するSECの反詐欺訴追の根拠となった。
訴状の申し立てを認めないものの、リーク氏は裁判所の承認を条件とする最終判決の言い渡しに合意した。判決では、300万ドルの民事罰の支払い、永久的な役員・取締役資格停止、連邦証券法の反詐欺規定違反に対する永久差止命令が命じられる。また、リーク氏は将来的な業務提携禁止(アソシエーショナル・バー)にも同意しており、規制対象事業体との関与が制限される見通しだ。
ファーム全体の和解と公正基金の設立
今回のリーク氏への措置は、一連の協調的な執行行動の完結を意味する。2026年6月、SECはウェスタン・アセット・マネジメント社に対して行政手続きによる和解を命じ、同社に1億ドルの民事罰を科した。重要なのは、この和解で「公正基金(フェア・ファンド)」が設立され、不利益を被ったポートフォリオの投資家に資金が分配される仕組みが整えられた点だ。リーク氏の300万ドル罰金と合わせ、一連の決着による金銭的救済総額は1億300万ドルに達する。
「リーク氏とウェスタン・アセットの行為は、顧客に対する受託者義務への極めて悪質な違反だ」と、SECロサンゼルス地域事務所のブレント・ウィルナー副所長は述べている。「今回のリーク氏との決着(裁判所の承認を条件とする)と、先のウェスタン・アセットとの和解により、総額1億300万ドルが回収され、被害投資家への実質的な救済が提供される。投資顧問は常に顧客利益を最優先しなければならないという原則が改めて強化されることになる」
刑事訴追の並行進行:司法妨害罪
民事執行と並行して、リーク氏は2026年6月、ニューヨーク南地区連邦地裁において司法妨害罪で有罪答弁を行った。これは、SECの捜査において虚偽かつ誤解を招く証言を行ったことが起因する。量刑言い渡しは今後数週間以内に予定されており、規制制裁に刑事罰という次元が加わることになる。
今後の見通し:裁判所の承認と基金分配
直近の焦点は、リーク氏に対する最終判決の裁判所承認である。承認されれば、役員・取締役資格停止と差止命令が発効する。市場関係者は、ウェスタン・アセット和解で設立された1億ドルの公正基金の運営プロセスを注視すべきだ。請求手続きおよび不利益ポートフォリオの投資家への分配スケジュールはまだ詳細化されていない。また、ニューヨーク南地区でのリーク氏の量刑により、懲役刑を含む刑事罰の程度が確定する。
