米証券取引委員会(SEC)は木曜日、暗号資産に特化したカストディ(保管)枠組みを提案し、登録投資顧問と規制対象ファンドに対し、自己管理および州信託会社の活用を認めるコンプライアンス上の道筋を示した。
主要ポイント
- SECが投資顧問法と投資会社法の下で初の暗号資産専用カストディ枠組みを提案。
- 一定条件下での自己管理を容認し、州信託会社を適格カストディアンとして認可。
- アトキンス委員長は数兆ドル市場への成長と、ビットコイン誕生以来の規制陳腐化を指摘。
- 連邦官報掲載後60日間のコメント期間開始。最終ルール採決時期は未定。
- 投資顧問と規制対象ファンドのカストディ・コンプライアンス障壁を解消し、機関投資家アクセスを開放する狙い。
エグゼクティブ・インテリジェンス・ブリーフ
提案の詳細と中核的な規制変更
提案されたルールと改正は、1940年投資顧問法と1940年投資会社法を対象とする。SECが認める通り、これらのカストディ要件は2008年のビットコイン誕生以前の時代に策定されたものであり、現代化が図られる。具体的には、登録投資顧問の財務諸表監査要件を更新し、登録投資会社や企業開発会社(BDC)を含む規制対象ファンドについて、ブローカー・ディーラーのカストディサービス要件を修正する。
今回の見所は、適格カストディアンの範囲を二つ大きく広げた点だ。第一に、一定の状況下で暗号資産の自己管理を認める。これは従来の適格な第三者カストディアン必須という原則からの転換だ。第二に、州信託会社を顧客および規制対象ファンドの暗号資産カストディアンとして認め、連邦ブローカー・ディーラーに限られていた機関インフラを拡充する。
アトキンス委員長「ルールが時代に追いついていない」
ポール・S・アトキンスSEC委員長は、今回の提案を市場進化への必要な対応と位置づけた。「2008年のビットコイン誕生以来、暗号資産市場はニッチな関心事から、投資家が積極的にエクスポージャーを求める数兆ドル規模の資産クラスへ成長した。残念ながら、我々のルールと規制はこの変化に追いついていない。今回の提案は、暗号資産カストディの明確な規制枠組みを提供し、これまで存在しなかった投資顧問とファンドのコンプライアンス上の道筋を示すものだ。過去の時代に作られたカストディルールが生んだグレーゾーンの不確実性を解消する」と声明で述べた。
市場への伝達メカニズムと機関投資家アクセス
明確なカストディ枠組みの不在は、デジタル資産への配分を検討する登録投資顧問とファンドにとって、構造的な参入障壁となってきた。現行の投資顧問法ルール206(4)-2では、顧客資産をカストディする投資顧問に対し、厳格な抜き打ち検査と適格カストディアン要件が課されるが、ブロックチェーンネイティブな資産ではこれらを満たすのが困難だった。自己管理の条件を明確化し、州信託会社を認めることで、受託者の運用上の摩擦と法的リスクが低減される。
この伝達メカニズムは直接的だ。コンプライアンス対応可能なカストディが商品創設を可能にする。投資信託、ETF、BDCといった規制対象ファンドは、資産保全の明確な規制パーミターの下で暗号資産戦略を設計できるようになる。これは、ステーキングやガバナンス参加などオンチェーン活動を伴う戦略において、サードパーティ・カストディアンが対応できないケースも含め、潜在的な機関需要を実配分資本へ転換させる加速要因となり得る。なお、過去の関連事例として、SEC、1億3000万ドルの暗号資産詐欺で2法人を提訴 虚偽の届出で正当性装う などの執行事例も、明確なルール整備の必要性を裏付けていた。
コメント期間と実施スケジュール
パブリックコメント期間は、連邦官報への提案掲載後60日間設けられる。SECは最終ルールの採決目標時期を明示していない。市場参加者は、自己管理に付される具体的条件(サイバーセキュリティ基準、分別管理プロトコル、監査証跡など)や、州信託会社の適格基準(資本要件、規制監督基準など)を精査する。最終ルールが、大小様々な投資顧問やファンドにとって新たな経路の実用性を左右することになる。直近の市場動向として、ビットコイン7.5万ドル維持、AI規制懸念でKOSPI売買停止・韓国が証拠金規制緩和 も注視されている。
