イングランド銀行(英中銀)のSONIAステークホルダー諮問グループ(SSAG)は2026年9月25日、リアルタイムグロス決済(RTGS)とCHAPSをほぼ24時間・週7日稼働へ移行させる英中銀の構想が、運用面と定義面の双方に及ぼす影響を評価するため会合を開いた。議論の中心は、現在午前7時までに提出されるデータに基づき午前9時に公表されているスターリング・オーバーナイト・インデックス・アベレージ(SONIA)、すなわちスターリング建てマネーマーケットの主要ベンチマークの健全性をいかに維持するかという点にあった。
主要ポイント
- 英中銀SSAGが、ほぼ24時間・週7日CHAPS決済がSONIAベンチマークの手法と運用に与える影響を検証。
- 無担保オーバーナイト市場は安定:日次取引高550億ポンド、政策金利とのスプレッド1.9bp。MMF流入は年初来150億ポンド。
- 業界は現行の午前9時SONIA公表維持を強く希望。公表遅延は参照商品の処理を混乱させるリスク。
- 週末CHAPS稼働で、週末SONIA公表か平日算出への組み込みかという構造的判断が必要に。
- 英中銀と英財務省が法定データ収集権限を見直し、市場進化の中でのSONIAカバレッジ維持を図る。
エグゼクティブ・インテリジェンス・ブリーフ
マネーマーケットの安定性を事後的に確認
グループは、検証期間中の無担保オーバーナイト市場が安定していたことを確認した。日次取引高は550億ポンド前後で推移し、政策金利(バンクレート)とのスプレッドは1.9ベーシスポイント(bp)近辺で変動していた。マネーマーケットファンド(MMF)には年初来で約150億ポンドの純流入があり、更新された流動性ガイダンスと地政学的緊張の高まりを受け、オーバーナイト建てへの配分が増加した。レポ市場のボラティリティと月末の金利スパイクは前年より低く、短期資金調達環境のレジリエンス(強靭性)を示唆している。
決済時間延長がSONIA慣習に挑戦
英中銀は2026年夏に決済時間延長について協議を行い、2027年第1四半期に業界へフィードバックのテーマを示す方針だ。検討されたシナリオの一つでは、CHAPSが午後6時にクローズし、翌セッションが午後8時にオープンするため、CHAPSのバリューデートと暦日が乖離する2時間の窓が生じる。これにより、市場参加者がタイムスタンプベースの約定慣習を採用し、利息計算を管理するために意思決定を前倒しまたは遅延させる可能性が指摘された。
参加者からは、多くのスターリング・マネーマーケット・データ(SMMD)レポートが自動化されているものの、延長時間下では前日データの再提出や再生成が可能であることが不可欠との指摘があった。グループは現行の午前9時SONIA公表時刻を維持する強い意向を示し、公表が遅れればSONIA参照商品の処理と履行に支障をきたすと懸念を表明した。
週末決済が構造的課題を提起
日曜および週末全日のCHAPS稼働が提案される中、週末の取引量や金利が平日と構造的に異なるかどうかが議論された。SONIAを週末も公表するか、それとも週末の取引を翌営業日の算出に組み込むかという判断は、ベンチマークの代表性と連動契約の利息計上メカニクスに直結する。
データ収集権限を見直し
別途、英中銀と英財務省はスターリング・マネーマーケット情報を収集するための法定権限を見直している。市場構造、規制、インフラ、ブッキング拠点が進化する中で、十分なカバレッジと市場活動の可視性を確保するのが狙いだ。必要であれば英中銀は、グループ傘下企業における重要なスターリング・マネーマーケット活動のデータ収集権限を求め、SONIAのカバレッジを維持する方針だ。
今後の見通しと主要マイルストーン
英中銀による延長時間シナリオの分析は継続中だ。次の確定したマイルストーンは2027年第1四半期で、RTGS・CHAPS協議のフィードバックテーマと次のステップが公表される。同時に、英中銀と英財務省の共同によるデータ収集権限見直しの帰趨が、SONIAインプットデータの将来的な規制枠組みを決定する。新型コロナ禍で午前7時に前倒しされた英国統計局(ONS)の経済データ公表時刻に関する協議も、関連する市場構造の動向として指摘された。英中銀FX委員会、ISDA 2026年版FX定義への移行期限を2027年11月に設定、英中銀理事会、QT年次決定を了承 出社率50%義務化とリーズ拡張も確認。
